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良い間取りは、ワンルームに近づく

2026.07.07

シンプルな暮らし

家づくりを考え始めると、多くの人は「部屋」をつくろうとします。リビング、ダイニング、和室、書斎、納戸…。それぞれに役割を与え、壁を立て、ドアを付けていく。でも、本当に豊かな暮らしは、その先にあるのでしょうか。私たちは、良い間取りほどワンルームに近づいていくと考えています。

もちろん、一つの部屋しかないという意味ではありません。暮らしが途切れず、空間がゆるやかにつながっている住まいです。朝はキッチンから家族の様子が見える。食事が終われば、そのまま会話が続く。子どもは学校に行き、大人は仕事に行く。同じ空間にいながら、それぞれが自分の時間が流れる。

そんな暮らしは、壁ではなく、空間のつながりから生まれます。そして、この考え方にはもう一つ大きなメリットがあります。壁が減れば、室内ドアが減ります。室内ドアが減れば、建具や枠、壁の下地や仕上げ材も減ります。つまり、家を小さくすることなく、建築コストを合理的に抑えることができるのです。

コストダウンというと、「何かを我慢すること」と思われがちです。しかし、本当に良い設計は違います。暮らしやすさを追求した結果として、余計な壁やドアがなくなり、自然とコストも下がる。それは削減ではなく、最適化です。さらに、壁が少ない家は光が奥まで届き、風も通りやすくなります。

視線が抜けることで実際の面積以上の広がりを感じ、家族の気配も自然と伝わります。数字では測れない「心地よさ」が、そこにはあります。家づくりは、部屋を増やすことではありません。暮らしに必要なものを見極め、不要なものを手放すことです。その結果として生まれるのが、空間に余白があり、人との距離も心地よい住まいです。

だから私たちは、「良い間取りは、ワンルームに近づく」と考えます。壁を減らすことが目的ではありません。家族が自然につながり、光や風が行き交い、そして建築コストまで無理なく整う。そんな住まいこそ、本当に価値のある間取りなのだと思います。

「安く建てる」のではなく、不要なものを削ぎ落とした結果、価格まで美しくなる。そんな家づくりが理想です。